地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


―――ガラッ…


扉を開けて、教室の中に入る。



「柚莉ちゃんだ!」


周りから声を掛けられるが、私の耳には届いていない。



私の目は、ある一人の男しか写っていないの…。




「……ちょっと時間もらえますか?……………滝本君。」



席の前に立ち、見下ろす。


「……何かな?」


にこやかに笑みを浮かべて、私を見上げた。



………本当に、杏樹は遊びだったのかしら?


そう思うくらいに、穏やかに笑ってる。




「………ちょっとお話があります。…………彼女のことで。」


「あぁ……それね。わかった…行くよ」



ガタンと席を立ち、一緒に教室を出る。




人気のない……ほかの人達には見付からない…西棟の裏まで来た。
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