地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


どちらでも良いから、杏樹に笑顔を与えてくれる人が欲しかった。



初めて会った時……

杏樹は、全く笑わない子供だった。


綺麗な黒髪で、日本人形みたいな容姿を持ち、多才なのに……誰も彼女に近付かない。



ご両親やおじいちゃんは、杏樹を大切にしてたけど…彼女は、魂の入ってない人形だった。


言われたことを淡々とこなしていく…勉強も修行も



初めて会った時、“この子って、どんな風に笑うのかな?”と思った。




彼女の笑顔が見たくて、色んな所に連れ回した。

遊園地、水族館、買い物…
だから今でも、遊ぶのは彼氏より杏樹の方が多いのかも…(笑)



初めて笑ってくれたのは、彼女の力を褒めた時。


凄く嬉しそうに笑ったの。

“認めてくれた”って思ったのかも知れない。
< 514 / 698 >

この作品をシェア

pagetop