地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
カリッ……カリッ……
「出来ました。」
わずか1、2分で解き上げた。
「正解です。」
クラスから拍手が起こる。
チョークの粉を払い、席に戻った。
その表情は、笑顔なんかではなく…無表情で人形のよう。
感情が入っていない。
この1週間で変わったこと
―――杏樹が笑わなくなった。
ニコリともしない。ましてや爆笑なんて―…微塵もない。
学園に来る度に、表情が消えていった。
以前のような生き生きとした笑顔はない―…。
教室に来ても誰とも話さないし、目も合わせない。
ただ窓の外を静かに眺めているだけ…。
私が話掛けると、何とか喋る。
だけど……それ以外は全く笑わないし、話さない。