地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


起き上がり、マリナを自分の胸を抱き寄せる。



俺って、記憶喪失なんだよな…
誰のことを忘れているのかもわからねぇけど…。


医者が言うには、

すぐに思い出すかもしれないし、10年以上かかるかもしれないと言うことだった。


「10年か………」

「どうしたのぉ〜?」

「なんでもねぇよ」


微笑んでマリナの頭を撫でる。



「ん?…マリナ、シャンプー変えた?」

「ううん。変えてないよ。どうして?」

「いや……なら良いんだ」




一瞬……何かが違うと感じた。

ミルクティー色のマリナの髪がなぜか不自然に見える。


ブラウン……いや黒…?


やっぱり黒だ。

この髪色が、黒じゃないとおかしいと思ってしまった。
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