地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
マリナから漂う香りも、何かが違う気がする。
こんなに甘ったるい香りだったっけ?
もうちょっと控えめだったような……?
抱き寄せたカラダにも、違和感を感じた。
なんか…しっくり来ないんだよなぁ…。
結構抱いて来たはずなのに…。
こんな風に考えるのは、俺が記憶喪失だからか?
じゃあ…一体誰のことを忘れてるんだよ。
家族、友人……仕事の関係者までしっかりと覚えている。
誰の記憶がないんだ…?
『…本気で、杏ちゃんのこと覚えてないの?』
病室で目を覚ました直後、咲姉から言われた言葉を思い出す。
杏ちゃん…………?
あの病室に来ていた地味女…?
アイツが……俺の忘れ人…?