地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
記憶をなくす前に、そいつが俺にとってどういう存在だったのか?
全くわからない……。
「陸ぅ〜明日退院だねぇ〜♪」
「そーだな……世話になったな、マリナ」
手に力を入れ、片口に顔を埋める。
………やっぱり違う。
なんか、しっくり来ない。
髪質や感触、匂い…抱き心地…。
体が覚えてるものと、違う気がする。
その時……マリナが俺の頭を撫でた。
!?
………違う………?
夢の中の温もりと全く違った。
ただ頭を撫でられているだけなのに、夢の中では絶対的な安心感があった。
今は……それがない。
あの温かい手と声は、マリナではない…?
じゃあ……誰の手………?