地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
「とにかく保健室に運ぼう」
一人の男子生徒が言い、杏樹を抱え上げようとした。
が…………。
「いやっ…俺が運ぶ!」
「違うだろ!俺だっ!!」
「僕が運びますっ…!」
誰が杏樹を運ぶかで、男子生徒達がモメだした。
………さすがは学園の姫。
こんな緊急事態の時まで、姫様争い。
私は、誰でも良いから、早く運んで欲しいんだけど…。
「神崎さんに触るなっ」
「それはお前の方だろ?」
「俺の姫なんだよっ!!」
いい加減にしなさいよ…。
この際、自分で運ぼうと杏樹に手を伸ばした。
「えっ…?」
目の前から杏樹が居なくなる。
「僕が運ぶから」
上から声が聞こえた。