地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


床に座り込んだまま、上を見上げる。


目を見開いた。



「「「滝本!?」」」


周りの男子生徒が、驚きの声を上げる。




まさかの人物が、杏樹を抱き抱えていた。



「この子の名前は?」

「「「神崎杏樹ちゃんだよっ!!」」」


一斉に滝本君の質問に答える男子生徒達…。



「神崎…杏樹……杏ちゃん…?」


小さく呟いた。




「滝本君っ…早く運んで…!」



私が頼むと、頷き保健室へ向かおうとする。



「僕が神崎さんの面倒は見るから、松沢さんは授業に戻ってて?」


ニコリと微笑み、杏樹をお姫様抱っこして


この場を去って行った。


他の男子生徒は悔しがる。



「……記憶……戻ったの…?」



彼の背中を見て呟いた。
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