地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


倒れたところを見て、体が自然と動いた。

なぜか、他の奴が触るのはすごく嫌だった。



「自分の女でもないのに…なんでだ?」



抱え上げると、あまりの軽さに驚いた。

中身…綿だらけじゃねぇの?



会うのは、2回目なはずなのに…
髪質…感触…匂い…抱き心地…
全てにおいて、しっくりと来る。


まるで……前から知っていたみたいだ…。




「お前って………俺の何…?」



頭を撫で…手を頬まで滑らせた。


サラサラの黒髪が揺れる。

“視えた”記憶と、彼女の姿が重なった。



まだ呼吸は乱れ気味……。

早く楽になれ……と願うように、頭を撫で続ける。


すると………


「………んっ………」


小さく身じろぎをして、目を開けた。
< 570 / 698 >

この作品をシェア

pagetop