地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
伏せ目がちで、ポーッと宙を見ている。
「起きたのか……?」
頬を撫でながら、聞いてみた。
彼女の視線が、俺に向けられる。
「えっ……………」
驚いた。
急に、彼女が笑ったから……。
ふわりと柔らかく、すごく嬉しそうに微笑んだ。
思わず見とれてしまう。
あまりにも綺麗で、無垢な笑顔だったし……“見たことがある”と思ったから……。
しかし、急に顔をしかめた。
「どうかしたのか……?」
どこか痛いのかと思ったが、予想外の返事が返って来る。
「また………怪我してる……」
哀しそうに眉を下げて、俺の顔へ手を伸ばした。
額に触れる。
「痛い……?」