地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


バシンっ…!とリビング中に響く良い音が鳴った。


「何すんだよ咲姉!」


睨んで来るバカを、ギロリと睨み返す。



「アンタ…男として最低ね」

「はぁ!?」

「アンタの行動が、杏ちゃんをどれだけ振り回して、どれだけ深く傷つけてると思ってんの!?」

「・・・・・・。」


一気に怒鳴ると黙る陸…。




「俺が忘れてるのは…やっぱり…その子?」


急に弱々しい口調になり、ソファーに座り込んだ。


「そうよ…アンタが忘れたのは、杏ちゃんのこと」


「…なんで思い出せねぇんだよ。あれだけ体が覚えてんのに…」


頭を抱えて悲痛な声を上げる。



「記憶をなくす前の……あの子と俺の関係って何?」

「・・・・・・」



今度は私が黙り込んでしまった。
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