地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
――杏樹Side――


翌日――……。


撮影現場には、陸の姿…。



お礼は…まだ言えてない。

陸も撮影中で忙しいから…。



休憩時間になったら、呼び出そうかな?

あとからマリナが来ることになってるし…早く言わないと。



それまでは、自分の仕事をする。




「じゃ〜…休憩入れま〜す」


スタッフさんの呼び掛けで、緊張した空気が和む。



今行かなきゃっ…!



「…っ……滝本君…ちょっと良いですか?」


一人になった陸に話し掛ける。


たった一言話し掛けるだけなのに、心臓が暴れ回り、手に汗が出て来た。




「うん……良いよ」

王子様スマイルで返される。


あたしが見たいのは…こんな笑顔じゃない。

けど…見る資格もないんだ。
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