地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
――陸Side――


『………っ……イヤッ!!』

振りほどかれた手を見つめる。


俺…拒絶された………?



もっと彼女の声が聞きたくて、引き止めようとしたのに……。

思いっきり拒絶された。



『滝本君…』

昨日は名前で呼んでくれたのに、今日は名字…。





一日でかなり彼女と遠くなった。


俺には触られたくない?

名前を呼ぶのもイヤ?



話していても、昨日のような笑顔は全くなかった。



目の前に彼女がいると…欲しくて欲しくて堪らない。

触れたい欲望が溢れて来る。


さっきだって…見上げられた瞬間、手が伸びそうになった。


『マリナと付き合ってる身で、杏ちゃんに関わるのは1番最低だと思うわ』


咲姉の言葉が、俺にストップを掛ける。
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