地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


陸の体を暖色の光が包み、術が発動する。




光が止む頃には、怪我の全てが消えていた。





シュッ………!

あたしの手の甲に、赤い血のラインが走る。


「残ったのは、これだけか…」


傷を引き受けたから、覚悟してたんだけど…少なく済んでよかった。



「体……どこか痛いところありますか?」


少し下にしゃがみ込み、目線を合わせて陸を見た。


首を横に振る。



「よかった………」

ホッとして息をついた。



今だに陸の腕は、あたしの体に回ってる。




なんでだ………?

もう治ったから、痛み引いてるのに……。


離してくれない―……



というより…どんどん力が強くなって、抱き着いて来てる?



「滝本君?……どうかしたの?」
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