地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐

何も答えずに、胸に顔を埋めたまま…ただ抱き着いて来る。



「まだ痛い所あるんですか?」

「ない…………。」

「じゃあ、離して下さい」

「ヤダ…………。」


陸……アンタ…記憶なくしても、我が儘ですね?



というか、人の気持ちを考えてないでしょ?

あたしがさっきの話を聞いて…どんな思いで、怪我を治したかを!


他の女を抱いた手で、抱きしめられたくないの。

今…かなり泣きたいのを我慢してるのに…。

気付いてる…?わかってる…?



「どうしたら…離してくれますか?」

声が少し震えてるけど、聞いた。

陸があたしの胸から顔を上げる。


「泣いてんの………?」

「泣いてませんから」


きっぱりと告げるが、顔に手を伸ばして来た。


「やっぱ…泣いてんじゃねぇか」


目元に触れて…温かい雫を指で拭い取る。
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