地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐

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「いよいよね……満月」


フフフ…と妖艶な笑いをこぼし、水晶玉を転がす。



水晶玉は、陸の記憶の証。


忘れた杏樹のことについての全ての記憶が入っている。



陸が杏樹と別れた本当の理由―…


記憶を操作され、愛しい者の存在を杏樹からマリナに、書き換えたから。



杏樹のみを忘れた理由―…


マリナによって記憶を奪われたから。



「さぁ…愛する人が目の前で苦しむ姿を見るがよい」



水晶玉で遊ぶマリナの元に、一人の男がひざまづく。


「マリナ様、準備が整いました」

「よろしい…あの女の親友を捕らえ、狐毒を仕込みなさい」

「御意(ぎょい)」



男がスッと消える。
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