地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐


怒りのボルテージが、限界まできてる。



両手で拳をつくった。



「この水晶玉を陸が触れば、アンタの記憶が戻るわよ。」

「・・・・・。」

「返して欲しい?」

「当然でしょ」

キッとマリナを睨む。



「じゃあ手段は…マリナを調伏して、取り返すのみね?」


フフフと水晶玉を指で挟んで…あたしを嘲笑う。




「…言われなくたって、やるわよっ!!
オンアビラウンキャン、シャラクタン!」


鋭く叫んで、右手で作った刀印(とういん)をマリナに向けて振り下ろした。

刀印から、霊気の刃が放たれる。



下ろしていたあたしの髪が翻った。

だいぶ力を込めて術を放ったから、大丈夫だと思っていた。




「……っ………!」



後ろから、声にならない悲鳴を聞くまでは。
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