地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐

「「えっ!?」」


あたしの呟きに、周りが驚きの声を上げた。





「杏…ちゃ……ん?」


咲さんが陸を置いて、あたしの傍まで来る。


「陸は…?陸はどうするの…?」

「……っっ………!」


唇を噛み、手の平に爪が食い込むほど握り締めた。



「あたしは……柚莉を選びます」

「そんなっ……じゃあ陸はっ…」

「・・・・確実に助かる方を助けます」



叫び出したくなるのを抑えて、泣きたいのを我慢して、告げる。



柚莉を床に寝かせて立ち上がり、陸の傍に腰を下ろした。



胸元からの出血は止まらず、真っ赤な血の海が出来ている。


こんな姿…一生見たくなかった。

させたくなかった。


「…ごめんなさい、あたしは…柚莉を選びます」
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