地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐

「よそ見してると、死ぬわよ?」


飛び掛かって来たマリナを跳躍して避ける。



残像の喉元に鋭い爪が突き刺さった。



「あぶなっ……」

運動神経良くてよかった!

お父さんのDNAに感謝だね!!




突き出された爪が刃のように変形する。

眼前に迫ってくる爪を見据えたまま、あたしは印を組んだ。



「オンアビラウンキャン、シャラクタン……!」



相手は最強と謳われる妖狐。生半可な術じゃ太刀打ち出来ない。



「ナウマクサンマンダ、ボダナン」



あたしの全身を純白の霊気が包み込み、マリナの爪を弾き返す。


均衡を保てなかったマリナは、体勢を崩して床に転がった。


「このっ……!」


跳ね起きる妖狐の体から激しい妖力がほとばしる。
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