地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
*最終章*
†プレゼント
バンッ―…!
隣のスタジオの扉を開ける。
中にいた人達が、一斉にあたしを見た。
「柚莉っ…!」
一目散に、床に横たわる柚莉の元へ行く。
「柚莉っ…今、楽にしてあげるからねっ?」
握っていたマリナの天珠を、柚莉の手に握らせた。
瞬時に、天珠の放つ光が、柚莉の全身を包み込む。
柚莉の体を取り巻いていたまがまがしい妖気は消えていき、清涼な霊力が辺りに充満していった。
「柚莉…………?」
呼び掛けると…うっすらと目を開く。
「……杏………樹……」
土気色の肌に赤みが戻って来た。
酷く体力を消耗しているらしく、すぐに眠りにつく。
「もう………大丈夫………」
規則正しい寝息が聞こえて安心した。