地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
陸の傍で全く動かない咲さんに、声をかける。



「咲さん…?」

「・・・・・・。」



「………陸は、戻って来ますからね?」

「えっ………?」

「陸だけは……還って来なくちゃいけませんから」


み〜んな待ってるんだから…



「だから、救急車呼んでおいて下さいね………?」


抱きしめたの陸の背中をポンポンと叩く。


「杏…ちゃ…ん……?」



不思議そうな咲さんに、柔らかく微笑んで……深呼吸をする。





『杏樹、これはやってはいけない術じゃ。人の生死の理に反する』


昔……じいちゃんから教えられたことを思い出した。


『それを行うのには、代償が必要になる。
代償を引き受けても構わないという相手が出来たら、わしは、ちょっくら悲しいぞ………』
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