地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
エーンエーン…と泣きマネするじいちゃんの姿が、目に浮かんだ。
「それでも……助けたいんだ」
どんな代償を払ってでも……
陸に還って来てほしいから。
それが、今まで陸に…我が儘ばっかり言ってきたあたしからの……最後のプレゼント。
いや、最後の我が儘かも…?
目を閉じると涙が目尻から滑り落ちる。
帰っておいで、帰っておいで。
代償は、全てあたしが引き受けるから……陸には何にも変わらないままで、帰って来てほしいから。
「謹請し奉る―――――――」
肩に頭を乗せて、呪文を唱える。
あと1つだけ…我が儘を聞いてもらえるなら……
もう一度、陸に名前を呼んでほしかったなぁ……。
「杏っ。」って…………。