地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐

エーンエーン…と泣きマネするじいちゃんの姿が、目に浮かんだ。



「それでも……助けたいんだ」


どんな代償を払ってでも……
陸に還って来てほしいから。




それが、今まで陸に…我が儘ばっかり言ってきたあたしからの……最後のプレゼント。



いや、最後の我が儘かも…?




目を閉じると涙が目尻から滑り落ちる。


帰っておいで、帰っておいで。



代償は、全てあたしが引き受けるから……陸には何にも変わらないままで、帰って来てほしいから。





「謹請し奉る―――――――」



肩に頭を乗せて、呪文を唱える。




あと1つだけ…我が儘を聞いてもらえるなら……


もう一度、陸に名前を呼んでほしかったなぁ……。


「杏っ。」って…………。
< 674 / 698 >

この作品をシェア

pagetop