地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
「…なんで起きねぇんだよ」
眠ったままの少女に問い掛ける。
「もう…1週間は過ぎてんだぞ」
白くて柔らかい頬を撫でた。
長くてキレイな黒髪は、お伽話のお姫様のよう……
「『ねむり姫』って感じだな?」
いや黒髪だから『かぐや姫』か?
「…いつまで寝てんだよ。起きたら、前みたいに『よく寝たぁ〜』とか…言うんじゃねぇぞ?」
顔に少し、笑みが宿った。
しかし、それはすぐに掻き消える。
「誰が…俺の弁当作るんだよ?」
『滝本家で作ってもらえば?』
答えなんて返って来てないのに、答えが浮かぶ。
「お前以外の…誰の胸に顔を埋めれば良いんだよ…?」
『お母様にすれば?』
ケロッとした顔で言いそうだな…