地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
落ち着かない奴だな…
自分で思った。
「あ、あの…腫れてますよねっ」
ど、どうしよう!
「あ。そうだ…!」
あたしはトイレに駆け込み、ハンカチを水で濡らした。
呪文をかける。
氷のように冷たいのが続く術と、やけどが治る術。
二つの術をかけて
男の人のところに戻る。
不思議な表情をしていた。
「あのっ…左手出して下さい。」
ハンカチを見せて、あたしがしたいことを伝える。
「はい」
出された左手に、ハンカチを外れないようにしっかりと結ぶ。
「冷たいね?」
「濡らしたんで……30分くらい外さないで下さい。
30分経ったら、外しても良いですから…」
左手を見る。