地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
片手には、点滴がしてあるため、強くは引っ張れない。


それでも、力いっぱいに抱きしめた。



「杏っ……………!」


抱き心地が、前と変わっていなくて…思わず泣きそうになる。




「あの……ここは天国ですか?」


「はい………?」


杏の意味不明な問い掛けに首を傾げた。



「だって……あたし……生きてるの?」

「生きてんだろーが…」



「この陸は……本物?」

「……偽物がいんのかよ」


笑って返すと……顔に手を伸ばしてくる。

何か似たようなことあったような……。


「いって…………!」


杏が、思いっきり俺の頬を真横に引っ張った。



「あっ……本物だぁ〜♪」

「だから言ってんじゃねぇか」




コンコン……


「杏樹、入るぞ?」
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