地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
なんで………?

うそ………


だって……この人が助かるように、難しい術を頑張って成功させたのに。



「わしは、用事があるから帰るな?…杏を頼みます、滝本君」

「はい。」


ニッコリと笑って、じいちゃんを見送る。



扉が閉まった瞬間……


「なんで………?」


陸に疑問をぶつけた。



「杏だけは、絶対に失いたくなかったから」


優しく微笑んでくれる。




「代償は……?」

「ちょっと左足を骨折」

「本当にそれだけ?」

「ホント。足以外は、何ともねぇから」



また微笑む陸を見た途端…目の前が温かいモノで見えなくなった。



ボロボロと止まることなく溢れてくる涙…


「………泣き虫」


小さく言われたと思ったら、温かい腕に引っ張られた。
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