地味子の秘密 其の弐 VS金色の女狐
片口に顔を埋めて、さらに抱きしめてくる。


「やっと杏に触れた………」


???

何が言いたいのか、わからない。


「俺ね…?杏に名前で呼んでほしかったんだ…」


………!?


「杏だと安心すんの。この声と匂いがねぇーと、マジで狂うんだよ…」



そのまま…抱きしめてくる。

自然と頭を撫でてあげた。


甘えるように、顔を埋めてくる陸……



一緒だったんだ……願い事。


「あたしだって……陸に名前で呼んでほしかった」


『杏っ』

その一言で、どんなに安心出来るか……。



「俺達、似た者同士じゃねぇーか…」

クスッと笑う。


「だね………。」


頭を撫でるのをやめて、抱き着いた。
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