お兄ちゃんといっしょ。
ver.2 天然
私の兄は、モテる。
いわゆる癒し系と言われている性格で、常に周りを和ませるのだ。
顔の作りも至って普通、むしろフツメン代表な兄がモテるのは、きっとこの性格が一つの原因なのだろう。
今日だって、私は同じクラスの子から何枚も手紙を預かった。
しかも、今度は告白のお手伝いときた。顔を真っ赤にして中庭で待つ女子生徒の為に、私は兄を引きずってきたのである。
「チカちゃんどーしたのー?お兄ちゃんに用って何なの?」
「いいから、兄さんは黙ってついてきて」
ゆるい口調でいう兄の手を引くと、待っていた女の子の前へと立たせる。
「この子が用あるって」
ややぞんざいな口調で言ったが、兄はそんなこと気にしないらしく、
「へー、どうしたの?顔赤いよ?保健室行く?」
見事なKYさを発揮した。
兄さん、そうじゃなくてね。
思わず出そうになった言葉を飲み込み、成り行きを見守る構えに入る。
まぁ、結果は見えていたが。
「あの、」
女子生徒が、控え目な声で一生懸命に言う。
「す……」
……す?
まさか、いきなりあの言葉から入るのか。
ちゃんと説明したのに……。
「好きです!!」
ワンテンポ遅れて、
「えっ?何が?」
兄がやんわりと笑った。