中学最後の冬休み《短》

目を見開くナツ。

どうしたらいいのかわからないみたいで、何回も瞬きをしている。

その度に揺れる睫毛が綺麗だと思った。


俺は、内心焦っていた。

ちょっとした脅し。

そのつもりで押し倒したのに。

このままでは本当にナツを……


「わかったらさっさと寝ろよ」

崩壊しかけていた理性を、なんとか呼びもどした。

やっぱり俺には、ナツを傷付けることなんて出来ないから。

ここまですればナツもわかっただろう。

あとは俺が朝までたえればいい。

だけどそのとき、俺の腕を何かが掴む。


「……いいよ」

それは真っ赤な顔をしたナツの手だった。
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