中学最後の冬休み《短》

いつの間に隣に座ったんだ?

そんな疑問が俺の頭に浮かんだけど、ナツの顔がいじょうに近いことによって吹き飛んでいった。

ナツの顔を見ると本当に心配してくれていることがよくわかる。


キスしたい。
押し倒したい。

俺がそんなことを考えているなんて、ちっとも思ってないだろう。

いや、思われていても困るけど。


「……大丈夫だから。ほら。ゲームするぞ。ナツ、このゲーム好きだろ?」

とにかく。理性を保とう。

ナツを傷付けるような真似だけは絶対にしたくない。

無理矢理笑みを作ってゲームを指差す。


「……うん」

納得していない顔をするナツを引っ張ってテレビの前に座らせる。

俺はナツから少し離れて座り、ゲーム機の電源ボタンを押した。
< 4 / 18 >

この作品をシェア

pagetop