中学最後の冬休み《短》
いつの間に隣に座ったんだ?
そんな疑問が俺の頭に浮かんだけど、ナツの顔がいじょうに近いことによって吹き飛んでいった。
ナツの顔を見ると本当に心配してくれていることがよくわかる。
キスしたい。
押し倒したい。
俺がそんなことを考えているなんて、ちっとも思ってないだろう。
いや、思われていても困るけど。
「……大丈夫だから。ほら。ゲームするぞ。ナツ、このゲーム好きだろ?」
とにかく。理性を保とう。
ナツを傷付けるような真似だけは絶対にしたくない。
無理矢理笑みを作ってゲームを指差す。
「……うん」
納得していない顔をするナツを引っ張ってテレビの前に座らせる。
俺はナツから少し離れて座り、ゲーム機の電源ボタンを押した。