中学最後の冬休み《短》

俺はナツを見ていると、理性が崩壊しそうになる。

だから出来るだけ、ナツと密室で二人きりになることは避けていた。

そんな俺がなぜナツと一夜を過ごすことになったのか。

それは間違いなく、俺とナツの両親のせいだと思う。



三日前の夜。

大好物の海老フライを食べていたとき。


『あっ、拓。私達、明後日から旅行だから。ナツちゃんのパパとママと一緒に』

うちの両親とナツの両親は仲が良い。

だから一緒に旅行にいくことは珍しいことではない。

俺は海老フライを口に入れたまま、無言で頷いた。


『ナツちゃんこっちに泊まるから。仲良くするのよ』

母さんのその言葉を聞いたとき。

俺の口から海老の尻尾がぽとっと落ちた。
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