中学最後の冬休み《短》
俺とナツは男と女なんだぞ?
母さんにそう言おうと思ったけど、そんなこと言ったら俺の気持ちがばれてしまう。
結局、俺は今日の朝、ナツと一緒に能天気な両親達を見送った。
……あの人達は何を考えているんだろう。
特にナツの両親。
一人娘を幼なじみとはいえ、男と一晩一緒に過ごさせるなんて。
心配じゃないのか?
それとも俺がナツに手を出さないって安心しているとか?
母さんは母さんで、俺の部屋に客用の布団おいてるし。
ナツにここで寝ろって言ってるようなもんじゃねえか。
俺がナツに手を出しても誰も文句言えない状況を、両親が作ってどうするんだよ。
隣にはキャッキャッとはしゃぐナツ。
夜が明けるまであと七時間くらい。
頑張れ俺、と何度も自分に言い聞かせた。