中学最後の冬休み《短》

俺とナツは男と女なんだぞ?

母さんにそう言おうと思ったけど、そんなこと言ったら俺の気持ちがばれてしまう。

結局、俺は今日の朝、ナツと一緒に能天気な両親達を見送った。


……あの人達は何を考えているんだろう。

特にナツの両親。

一人娘を幼なじみとはいえ、男と一晩一緒に過ごさせるなんて。

心配じゃないのか?

それとも俺がナツに手を出さないって安心しているとか?


母さんは母さんで、俺の部屋に客用の布団おいてるし。

ナツにここで寝ろって言ってるようなもんじゃねえか。

俺がナツに手を出しても誰も文句言えない状況を、両親が作ってどうするんだよ。


隣にはキャッキャッとはしゃぐナツ。

夜が明けるまであと七時間くらい。

頑張れ俺、と何度も自分に言い聞かせた。
< 6 / 18 >

この作品をシェア

pagetop