中学最後の冬休み《短》
「だからベッドの奥と手前。どっちがいい? 私は奥がいいんだけど」
そう言いながらベッドの奥に寝転ぶナツ。
なるほど。壁側が奥か。
……って、納得してる場合じゃねえな。
ナツはどうやら俺と寝る気だったらしい。
その証拠にベッドは半分ほど空いている。
だけど俺のベッドはシングルサイズ。
一緒に寝たらかなり密着するだろう。
そんなベッドでナツと朝まで過ごしたら、俺は理性を保つ自信がない。
「……俺は布団で寝るから、ナツはベッド使えよ」
うん。そうだ。
そうすればいいんだ。
最悪、リビングのソファーで寝よう。
「えっ? なんで? 一緒に寝ようよ」
俺の葛藤に、全く気づいていないナツの声が部屋に響いた。