夢のーと
第一章:居場所
「行ってきます。」


小さな声でそうつぶやいてみる。


もう、何年この言葉を言っていなかっただろう。


お母さんがいなくなってからだから・・・5年くらいだろうか。


お母さんが死んでから、5年。


その頃から、あたしの生活は一変していった。


お父さんは、これをチャンスだと言わんばかりに、毎晩毎晩飲み歩いていた。
そして、アルコール中毒になり去年死んだ。


大して悲しいとは思わなかった。


だって、お父さんとの思い出は嫌な思い出しかないから。


お父さんが死んでから、あたしは一人になった。


親戚は皆あたしを避けて、貰い手がつかなかったから。
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