空色幻想曲
「報告を聞くわ」
ハーブティーを飲み干して一息ついたころ、話を切り出した。
たおやかな微笑みから、凛然とした『女王』の顔に変わっていた。高潔なロイヤルブルーの瞳は珠玉な光を放ち、見る者を思わずひれふさせてしまうほどの威厳に満ちあふれている。
病弱ゆえに儚げな印象を持つ彼女。そのいったいどこにこんな強さが秘められているのか……と、男はいつものことながら驚嘆の息を吐く。
この内に秘められた強さこそが、不治の病に臥せながらも彼女を女王然とさせているものに間違いなかった。
「なにか、つかめたの?」
「まだ、これと言って。ただ、国内──特に上流貴族の間で不穏な動きがあるのは確かだ」
「リュートをティアの親衛隊長に推薦したのと……関係があるの?」
「別に。アイツの力はこの国の助けになると思った。それだけさ」
答える一瞬ピクリと指が動いたのを、リディアは見逃さなかった。
が、
「そう」
気づかぬふりをしてうなずくだけ。
彼は巡検騎士の肩書と同時に “国王の千里眼” という二つ名を持っている。
王の代わりに遠くへおもむく役割からついた呼び名だが、真の由来は別にあった。
ハーブティーを飲み干して一息ついたころ、話を切り出した。
たおやかな微笑みから、凛然とした『女王』の顔に変わっていた。高潔なロイヤルブルーの瞳は珠玉な光を放ち、見る者を思わずひれふさせてしまうほどの威厳に満ちあふれている。
病弱ゆえに儚げな印象を持つ彼女。そのいったいどこにこんな強さが秘められているのか……と、男はいつものことながら驚嘆の息を吐く。
この内に秘められた強さこそが、不治の病に臥せながらも彼女を女王然とさせているものに間違いなかった。
「なにか、つかめたの?」
「まだ、これと言って。ただ、国内──特に上流貴族の間で不穏な動きがあるのは確かだ」
「リュートをティアの親衛隊長に推薦したのと……関係があるの?」
「別に。アイツの力はこの国の助けになると思った。それだけさ」
答える一瞬ピクリと指が動いたのを、リディアは見逃さなかった。
が、
「そう」
気づかぬふりをしてうなずくだけ。
彼は巡検騎士の肩書と同時に “国王の千里眼” という二つ名を持っている。
王の代わりに遠くへおもむく役割からついた呼び名だが、真の由来は別にあった。