空色幻想曲
†妖艶な美少女†
Lute side
********************
「っくし!」
自分のくしゃみで俺は目が覚めた。
(……?)
左眼を開けているはずなのに視界が暗い。周囲を包む濃藍の闇に、点々とした小さな明かりだけが浮かんでいた。
冷たい風が肌を刺し、葉擦れの音が耳をくすぐる。
(ああ、そうか)
あのまま眠ってしまったんだな。
闇の正体は、暗幕のように覆う葉陰で。点在する明かりは、葉陰に切り取られた星空の断片だった。そこに月の欠片は見あたらない。
(戻るか)
枝からヒラリと飛び降りる。地に足をつけた瞬間、視界の端に捉えた──
闇に浮かぶ、金の光。
(!? 魔──)
金の眼をした黒い影が横切った!
──が、その影はかなり小さい。四本足でしなやかに地面に降り立つと茂みの中へ消えた。
「なんだ、猫か……」
溜息を吐く。
安心も束の間。猫が現れたのと同じ方向から物音がした。
今度は明らかに猫より大きい──人の気配。
警戒しながら暗闇に目を凝らすと、人型のシルエットが段々と浮かび上がってきた。
いや、これは……
(人、なのか……?)
********************
「っくし!」
自分のくしゃみで俺は目が覚めた。
(……?)
左眼を開けているはずなのに視界が暗い。周囲を包む濃藍の闇に、点々とした小さな明かりだけが浮かんでいた。
冷たい風が肌を刺し、葉擦れの音が耳をくすぐる。
(ああ、そうか)
あのまま眠ってしまったんだな。
闇の正体は、暗幕のように覆う葉陰で。点在する明かりは、葉陰に切り取られた星空の断片だった。そこに月の欠片は見あたらない。
(戻るか)
枝からヒラリと飛び降りる。地に足をつけた瞬間、視界の端に捉えた──
闇に浮かぶ、金の光。
(!? 魔──)
金の眼をした黒い影が横切った!
──が、その影はかなり小さい。四本足でしなやかに地面に降り立つと茂みの中へ消えた。
「なんだ、猫か……」
溜息を吐く。
安心も束の間。猫が現れたのと同じ方向から物音がした。
今度は明らかに猫より大きい──人の気配。
警戒しながら暗闇に目を凝らすと、人型のシルエットが段々と浮かび上がってきた。
いや、これは……
(人、なのか……?)