空色幻想曲
†藍色のとばり†
God aspect
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「おまたせ」
森の入口付近で立ち往生していた人物に、少女は声をかけた。
長身のシルエットが小走りで近よってくる。
それは少女の付き人という雰囲気ではない。高貴な出で立ちをした青年。
安堵のため息をもらしながら優しく語りかけた。
「無事でよかった。急にいなくなるからビックリしたよ。こんなに真っ暗じゃ下手に捜しに行けないし」
「心配ないわ。……知ってるでしょ?」
「ああ。それでも心配するよ、俺は」
とがめるような言葉だが口調は飽くまでもおだやかだ。
「ごめんなさい。かわいいねこを見かけて、つい……」
「猫ってそれ? 黒いからわからなかった」
少女の胸もとに視線を落とすと、漆黒のドレスに保護色のように溶けこんでいた。
黒い毛並みにゆっくり手を伸ばす。触れる直前でその毛を逆立てるように鋭く鳴いた。つれない態度に、青年は困惑顔で自分の長い髪をかきあげた。
「君には懐いてるな」
「ええ……どうしてかしら? 彼も逃げられていたわ」
「彼?」
眉をひそめて問いかけると、吐息のようなささやきで
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「おまたせ」
森の入口付近で立ち往生していた人物に、少女は声をかけた。
長身のシルエットが小走りで近よってくる。
それは少女の付き人という雰囲気ではない。高貴な出で立ちをした青年。
安堵のため息をもらしながら優しく語りかけた。
「無事でよかった。急にいなくなるからビックリしたよ。こんなに真っ暗じゃ下手に捜しに行けないし」
「心配ないわ。……知ってるでしょ?」
「ああ。それでも心配するよ、俺は」
とがめるような言葉だが口調は飽くまでもおだやかだ。
「ごめんなさい。かわいいねこを見かけて、つい……」
「猫ってそれ? 黒いからわからなかった」
少女の胸もとに視線を落とすと、漆黒のドレスに保護色のように溶けこんでいた。
黒い毛並みにゆっくり手を伸ばす。触れる直前でその毛を逆立てるように鋭く鳴いた。つれない態度に、青年は困惑顔で自分の長い髪をかきあげた。
「君には懐いてるな」
「ええ……どうしてかしら? 彼も逃げられていたわ」
「彼?」
眉をひそめて問いかけると、吐息のようなささやきで