空色幻想曲
「じゃあ、行くよ」

「ええ、気をつけて行ってらっしゃい」

 何気ない挨拶(あいさつ)を別れの言葉に変えて、ゆっくりと扉を押し開けた。

 外に出て、ふと、(あお)ぎ見る。
 もう光を映すことのないこの右眼でさえも(まぶ)しさを感じるほどに、どこまでも澄みきっていた。

 美しい、青。

 君の髪は、ちょうど今日のような空の色だろう。

「もうすぐ、逢えるな……」


 かすかに()らした(つぶや)きは空に溶けるように

 風に、乗って、消えた……



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Ouverture-序曲- 終
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