空色幻想曲


 しばらくして、コツコツと床を鳴らす音が聞こえてきた。

 侍女に案内されながらまっすぐ近づいてくる、騎士の正装をした青年。
 向こうは私がひそんでいることに気づかない。
 こちらも青年の顔はよく見えない。

 ただ、横にならぶ侍女との差からかなりの長身だとわかる。ほんとうに高い。フェンネルより高いんじゃないかな。

 やがて足音が謁見の間の前で止まった。

 扉の前には、銀の(よろい)(かぶと)に身をつつみ腰に小剣をたずさえた兵士が立っている。

 兵士の顔をずいぶん見おろしながら

「新しく騎士に就任する者だ。お通し願おう」

 少し低いけれどよく通るハリのある声が響いた。その声にうながされ、扉が開かれる。
 青年は颯爽(さっそう)と初めの一歩を踏みだした


──瞬間、銀色の()が宙を舞った!



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