空色幻想曲
『穴場』というのは、いつもかくれんぼに利用していた秘密の場所だ。いわゆる非常時に使われる、王宮のかくし通路だったり、かくし部屋だったり。
今いる場所もその一つ。
さっきの地鳴りは部屋の仕掛けを解除した音だ。
本来限られた者にしか知らされない極秘事項だけど、子どもの無邪気な好奇心とは恐ろしいもので。
私はそういった場所を見つけるのが大得意だった。
レガートはよくいっしょに遊んだから穴場の存在は知っているけれど、騎士になったばかりのリュートが知るはずもない。
つい、子どものときと同じノリで、本気でかくれんぼする気まんまんになっていた。
「姫ってときどき抜けてますよね……」
「お願いっ、レガート、見逃して!」
「早く戻らないとダリウス殿に叱られますよ」
さわやかな笑顔を消してたしなめられたが、今もどっても叱られる。目的を果たして叱られるならかまわないが、果たさずして叱られるなんてカンベンだ。
「どうしても見つけたいの!!」
手を組み祈りのポーズで拝み倒す。
レガートは困惑の表情で深い息を吐いた。
「……今回だけですよ」
「ありがとう! ──で、どこを捜してるの?」
「姫がよく行かれる場所をあたっていけば、どこかで鉢合うんじゃないでしょうか」
今度こそ! と意気ごむと、レガートがやや生温かい笑顔で見送った。
「僕も叱られるかな……」なんてボソリとつぶやいて。
……ごめん。レガート。ホントにありがとう。持つべきものは幼なじみだ。
********************
今いる場所もその一つ。
さっきの地鳴りは部屋の仕掛けを解除した音だ。
本来限られた者にしか知らされない極秘事項だけど、子どもの無邪気な好奇心とは恐ろしいもので。
私はそういった場所を見つけるのが大得意だった。
レガートはよくいっしょに遊んだから穴場の存在は知っているけれど、騎士になったばかりのリュートが知るはずもない。
つい、子どものときと同じノリで、本気でかくれんぼする気まんまんになっていた。
「姫ってときどき抜けてますよね……」
「お願いっ、レガート、見逃して!」
「早く戻らないとダリウス殿に叱られますよ」
さわやかな笑顔を消してたしなめられたが、今もどっても叱られる。目的を果たして叱られるならかまわないが、果たさずして叱られるなんてカンベンだ。
「どうしても見つけたいの!!」
手を組み祈りのポーズで拝み倒す。
レガートは困惑の表情で深い息を吐いた。
「……今回だけですよ」
「ありがとう! ──で、どこを捜してるの?」
「姫がよく行かれる場所をあたっていけば、どこかで鉢合うんじゃないでしょうか」
今度こそ! と意気ごむと、レガートがやや生温かい笑顔で見送った。
「僕も叱られるかな……」なんてボソリとつぶやいて。
……ごめん。レガート。ホントにありがとう。持つべきものは幼なじみだ。
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