空色幻想曲
「はじめまして。私は、クレツェント王国第一王女ティアニスです」
「な、ん……だと?」
(この人が……新しい護衛騎士……)
兜をかぶっていたときはよく見えなかった青年の顔を、まじまじと見つめた。
陽の光を浴びたように輝く長い、金の髪。
目つきは鋭いのに不思議とキツイ印象は感じない、翡翠の瞳。
異例の飛び級に “英雄の再来” なんてウワサを聞いていたから、どんな豪傑かと思いきや。ずいぶん繊細できれいな顔立ちをしていた。一言で表すと、美形だ。それもかなりの。
けれど、それよりもっと釘づけにしたのは……
顔に大きく刻まれた、傷痕。
おでこからほほへ縦に走るその傷は、右の眼を、堅く閉ざしていた。
──隻眼……!?
片目は戦闘でかなりのハンデになるはず。それでも空姫親衛隊長として迎えられたということは、彼の実力はハンデをおぎなってあまりあるのだろう。
(でも、せっかくきれいな顔なのに、もったいない)
王女の私がこんなたとえをするのもなんだけれど、異国の王子様と言っても通るんじゃないだろうか。傷さえなければ。
なんてノンキなことを考えていたら