空色幻想曲
「お話し中大変申し訳ありません、エリーゼ様。少々よろしいでしょうか?」
エントランスでの立ち話に花が咲き始めたちょうどそのとき、シュヴァルツ邸の執事が遠慮がちに割って入った。眉を八の字にして、なにやら困っている様子。
エリーゼも察して、話の腰を折ったことはとがめず執事に向き直った。
「どうしたの?」
「シルバが厨房で暴れておりまして……」
それに「またなの?」という顔で小さくため息をつく。
「もう、あの子ったら……わかったわ。止めにいけばいいのでしょう」
「恐れ入ります。コックや私どもでは手に負えませんので」
「あはは。ホントに男の人にはなつかないんだね」
つい、笑って口をはさんだ。黒い毛玉だらけにしているコックの姿を想像すると、本人たちには申しわけないけれど、はたから見るぶんには愉快な光景だ。
「ごめんなさい、おねえさま。お部屋でまっていてくださる?」
「ええ」
いつもの部屋に通しておくよう執事に頼んで、藍色のウェーブを小刻みにゆらしながら厨房へ消えた。
エントランスでの立ち話に花が咲き始めたちょうどそのとき、シュヴァルツ邸の執事が遠慮がちに割って入った。眉を八の字にして、なにやら困っている様子。
エリーゼも察して、話の腰を折ったことはとがめず執事に向き直った。
「どうしたの?」
「シルバが厨房で暴れておりまして……」
それに「またなの?」という顔で小さくため息をつく。
「もう、あの子ったら……わかったわ。止めにいけばいいのでしょう」
「恐れ入ります。コックや私どもでは手に負えませんので」
「あはは。ホントに男の人にはなつかないんだね」
つい、笑って口をはさんだ。黒い毛玉だらけにしているコックの姿を想像すると、本人たちには申しわけないけれど、はたから見るぶんには愉快な光景だ。
「ごめんなさい、おねえさま。お部屋でまっていてくださる?」
「ええ」
いつもの部屋に通しておくよう執事に頼んで、藍色のウェーブを小刻みにゆらしながら厨房へ消えた。