空色幻想曲
 己の活路はそこから見出す!

成程(なるほど)。貴殿の戦術は読めた」

 重く垂れこめる声。活火山が地表を鳴動させる音に聞こえた。

「ならば、我輩から攻めよう」

 雄大な山が火を噴いた!

 地響きとともに熱い刃が足元をえぐり取る。ぱっくり裂けた地面を横目に愚かにも一瞬気圧(けお)された。

「止まるなっ、リュート!」

 遠くでレガートの喝。跳び退くと旋回する豪剣が脇腹を掠めた。そのまま巨体の四方八方から熱風を巻き起こし砂塵(さじん)が飛び散る。

(連撃か!)

 猛追に一定の距離を保ちながら舌を巻いた。

 なぜ、超重武器で息もつかせぬ連続攻撃を繰り出せるのか。
 答えは──ツヴァイハンダーの造りにあった。

 剣身の(つば)元に『リカッソ』という刃のない部分がある。それを柄代わりにして利き手で握る。右手と左手の持つ幅を広げることで超重量のバランスを取り、小回りを利かせるのだ。

 このリカッソを活用した斬撃は、柄だけを持って振り回す通常攻撃より三~五倍の威力が出る。

 ツヴァイハンダーが『両手剣の中で最高峰』と言われる所以(ゆえん)
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