空色幻想曲


「君に」


 まっすぐ向けられた眼差しをしばらく見つめ返して、

 紅い瞳が、

 ゆっくり、

 閉じた。


 重なる二つの影を、濃藍の空から猫の爪のような細い月が照らしていた。

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