空色幻想曲
†冒険へ、いざ行かん!†
Tirnis side
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雲一つない晴天。
厳しい冬の風もやわらかい陽ざしにほだされてゆるやかに流れている。
まさに冒険びよりだ!
今日は、私の初視察。新しい空姫親衛隊の初出動。
記念すべきこの良き日がもしかしたら歴史に残る1ページになるかもしれない……なんてワクワクを胸に抱きながら、私は玉座の前で決意表明した。
「みんな、すでに聞いていると思うけれど、公務を行っていた私の祖父ヴィクトルが体調不良によりしばらく静養することになりました。
その間、私が女王代理として公務を行います!」
目の前には三十人あまりの親衛隊員たちが整列し、しゃがんで立てひざをついている。
先頭に新隊長──リュートの姿。
視察の準備に追われたせいもあって顔をあわせるのは『あの日』以来だ。
胸のワクワク感がしぼんで、もやもやした空気がまとわりつく。
彼のほうは、いつもと変わりないふてぶてしい顔で飄飄とたたずんでいた。
その態度が、ホッとしたような、虚しいような。
幻滅されたかと思っていたけれど、そもそも彼は私を王女として持ちあげることはしない人だし。きっと、聞く耳持たないガンコで手のかかるジャジャ馬姫だ、と思われたくらいで。彼にとってはどうでもいいことだったのかもしれない。
私の、黒いきもち、なんて──
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雲一つない晴天。
厳しい冬の風もやわらかい陽ざしにほだされてゆるやかに流れている。
まさに冒険びよりだ!
今日は、私の初視察。新しい空姫親衛隊の初出動。
記念すべきこの良き日がもしかしたら歴史に残る1ページになるかもしれない……なんてワクワクを胸に抱きながら、私は玉座の前で決意表明した。
「みんな、すでに聞いていると思うけれど、公務を行っていた私の祖父ヴィクトルが体調不良によりしばらく静養することになりました。
その間、私が女王代理として公務を行います!」
目の前には三十人あまりの親衛隊員たちが整列し、しゃがんで立てひざをついている。
先頭に新隊長──リュートの姿。
視察の準備に追われたせいもあって顔をあわせるのは『あの日』以来だ。
胸のワクワク感がしぼんで、もやもやした空気がまとわりつく。
彼のほうは、いつもと変わりないふてぶてしい顔で飄飄とたたずんでいた。
その態度が、ホッとしたような、虚しいような。
幻滅されたかと思っていたけれど、そもそも彼は私を王女として持ちあげることはしない人だし。きっと、聞く耳持たないガンコで手のかかるジャジャ馬姫だ、と思われたくらいで。彼にとってはどうでもいいことだったのかもしれない。
私の、黒いきもち、なんて──