空色幻想曲
──かに見えたそのとき、

 起死回生の風が吹いた!

(ひる)むな!!」

 仲間に喝を入れる。

「一番隊、敵の迎撃!
 二番隊、王女の護衛!
 三番隊、退路の確保!
 あとは各小隊長に従え!!」

「おいおい、隊長さん! だから迎撃ってどうすりゃいいんだよ!?」

 アルスのツッコミには目もくれず、紫髪の神官に向き直った。

「ジークリード! マリオンが結界を狭めたら全方位に光の攻撃魔法を放て。
 隊員はそれで魔物の位置を把握しろ!」

「了解した。自分は詠唱に入る」

「魔族はどうやって見つける?」

 続くベンの質問に、俺はある人物を注目する。
 闇に溶け込む黒猫を胸に抱いた少女。彼女の前にひざまずいて目線を合わせ、短く告げた。

「エリーゼ姫、力を貸してくれ」

 藍の少女が戸惑いながらも静かに問いかける。

「なにをすればいいの?」

 見据える、真紅の瞳。
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