空色幻想曲
「足手まといだ! 結界の中にいろ!!」
「そんな……っ!」
「構っている暇はない。──シレネ、王女を頼む」

 王女のそばに控えていた侍女をちらりと振り返ると、こんな状況でも普段通りの鉄仮面で「はい」と素早く答えた。

 そのうちにジークリードが詠唱を終えたと目配せする。

「マリオン、残り時間は?」
「結界小さくしても五分!」
「全員配置につけ! 五分で魔族を殲滅(せんめつ)するっ、いいな!!」

 そして(とどろ)く、(とき)の声。

「行くぞっ!!」

 神の光矢(こうし)が闇をつんざく。
 刹那の閃きをよすがにして(うごめ)く邪悪な影の中に身を投じた。

 死の匂いと血煙りが漂う戦場へ──

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