空色幻想曲
 ここまで、戦闘開始から、わずか一分。

 四人中二人の魔族を撃破したことで洗脳が解けたモンスターは逃走し、敵は半数以下にまで減った。
 絶対絶命に追いこまれた暗闇戦闘は、空姫親衛隊がやや優勢となった。

 二分経過。

 親衛隊は順調に魔物の数を減らし、「このままいけば勝てる」と勝利を確信する者も出てきた。

 だが──
 この戦況が決して優勢ではないことにいち早く気づく者もいた。

「まずいな」

 涼しげな氷青色の眼を細め、吐息にかすかな焦りをにじませる。

 隊長・副隊長の先導の下、一番隊は無数の魔物相手に善戦を繰り広げていた。
 おかげで重傷者を出すこともなく次々と魔物を倒している。

 それなのに──
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