空色幻想曲
 三分経過。

(残り二人の魔族が見つからない)

 レガートは気づいていた。

 魔物の数は確かに減った。だが、ある一定のラインを境にほとんど減らなくなっていることに。

 魔族は身をひそめたまま魔物をけしかけ続け、親衛隊の体力を消耗させる気か。
 あるいは、結界が解けるのを待って一気に中枢部分を攻める気か。

 おそらくその両方だろう。
 別の対策を立てる必要がある、と判断した。

「リュート!」

 闇の中に呼びかけると、魔物に鮮やかな一閃を浴びせながら片方だけの翡翠がこちらを照らす。

『お前は好きにしろ、レガート』

 その視線は戦闘開始前の言葉どおり、どんな判断もゆだねるという信頼が見てとれた。

 隊長も同じことに気づいている。
 二大戦力の隊長・副隊長がそろってこの場を離れるわけにはいかないが、

(僕、一人なら……)

 意を決して最前線から離脱した。

 そして、四分経過。

 結界が解けるタイムリミットは──



──あと、一分。



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