空色幻想曲
 彼らの会話から察するに。
 なにかしらのいさかいがあったのだと思われる。

 アルスとベンはもともとレガートと仲がいいし、副隊長を押しのけて隊長になったリュートをあまり良く思っていなかったのだろう。

 あの闇夜の死線をともにくぐりぬけ、今、ようやく彼らは和解して──

 リュートは居場所を手に入れたんだ。

(とうぜんか。もともとそうなれるだけの力がある人だもの)

 レガートもベンもアルスもみんな、戦いの能力だけを見てもそれぞれ実力あるすごい人たちで。そのすごい人たちに認められるだけの価値がある人。

 胸が、さらに、ざわつく。

 ふと、回廊の窓ガラスに映る姿に気づいた。

 ──なんて顔してるの……

 闇の中に反射する自分の顔に驚く。この世のものではない幻影のようにたたずんでいた。

 世界に自分の居場所なんてないみたいに。
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